
介護業界は高齢化社会の進展とともに、そのニーズが急速に拡大しています。同時に、介護の質の向上と専門性の確立が求められる中、資格の重要性はますます高まっています。介護士としてのキャリアをさらに発展させたい方、転職を考えている方にとって、適切な資格の取得は大きな武器となります。
本記事では、キャリアアップに役立つ資格を人気度・取得難易度・年収アップ効果などの観点からランキング形式でご紹介します。

すぐに行動に移せる具体的な取得方法も含め、あなたの次のステップを応援する内容となっています。
介護士が資格を取るべき理由
介護士が新たな資格を取得することには、以下のようなメリットがあります。
- 収入アップ:専門性の高い資格は直接的な給与アップにつながります
- キャリアの選択肢拡大:取得資格によって働ける施設や職種が広がります
- 転職時の強みになる:採用担当者に自己研鑽の姿勢をアピールできます
- ケアの質向上:より専門的な知識とスキルで利用者へのサービス向上につながります
- 自信と満足度向上:新たな知識やスキルの習得は仕事への意欲と自信を高めます
それでは、現在の介護業界で特に注目されている資格を、順にご紹介していきます。
【人気資格ランキング】
1位:介護福祉士
取得難易度:★★★☆☆ 年収アップ効果:★★★★☆ 需要度:★★★★★
介護のプロフェッショナルとして認められる国家資格です。介護業界でのキャリアアップを考えるなら最優先で取得したい資格といえるでしょう。
取得方法
- 実務経験ルート:3年以上の実務経験+実務者研修(450時間)修了後、国家試験受験
- 養成施設ルート:厚生労働大臣が指定した養成施設で2年以上学ぶ
メリット
- 基本給のアップ(月給で約2〜3万円増)
- 施設の介護職員の配置基準に関わるため需要が高い
- 管理職への登用条件となることが多い
- サービス提供責任者になれる
合格のポイント
試験の合格率は例年60%前後です。実技試験が廃止され(※2024年度試験より廃止)、すべて筆記試験になったため、日々の業務で培った知識と経験を体系的に整理することが重要です。特に医学的知識や法律・制度の理解には時間をかけて学習しましょう。
キャリアアップ応援制度
転職求人サイトの中には独自で行っているキャリアアップ応援制度というサービスがあります。
実務者研修と介護福祉士の資格が働きながら0円で受講できる制度で未経験・無資格の方にはおすすめできる制度です。興味がある方はぜひ見てみてください。
2位: ケアマネジャー(介護支援専門員)
取得難易度:★★★★☆ 年収アップ効果:★★★★★ 需要度:★★★★★
介護サービス計画(ケアプラン)の作成や調整を行う専門職です。利用者と各サービス提供者の橋渡し役として重要な役割を担います。
取得方法
- 介護福祉士など特定の資格を持ち、5年以上の実務経験後に受験資格を得る
- 都道府県が実施する試験に合格後、実務研修(87時間程度)を修了する
メリット
- 年収アップ(介護福祉士より約50〜100万円高い傾向)
- デスクワークが中心となり、体力的な負担が軽減
- 幅広い視点でケアの提案ができるようになる
- 居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなど活躍の場が広がる
合格のポイント
試験の難易度は高く、合格率は例年10%〜20%程度です。医療・福祉・介護保険制度に関する幅広い知識が問われるため、早めの対策が必要です。実務経験だけでなく、体系的な学習と過去問演習が合格への近道です。
3位:認知症介護実践者研修
取得難易度:★★☆☆☆ 年収アップ効果:★★☆☆☆ 需要度:★★★★☆
認知症高齢者へのケアに特化した研修制度です。実践者研修、実践リーダー研修、指導者研修と段階的にスキルアップできます。
取得方法
- 実践者研修:認知症介護の実務経験2年以上が必要
- 各都道府県や指定研修機関で実施される研修を修了(約30時間程度)
メリット
- 認知症の方への理解と対応力が格段に向上する
- 特別養護老人ホームや認知症グループホームでの評価が高い
- リーダー研修、指導者研修とステップアップすることで、管理職への道が開ける
- チームケアの中心的役割を担える
受講のポイント
講義だけでなく演習や実習が含まれるため、実践的なスキルが身につきます。認知症ケアの現場では必須の研修として評価されており、修了証は転職時のアピールポイントになります。
4位:社会福祉士
取得難易度:★★★★☆ 年収アップ効果:★★★☆☆ 需要度:★★★☆☆
福祉に関する相談援助を行う国家資格で、介護と福祉の両面からサポートできる人材として評価されています。
取得方法
- 実務経験ルート:指定施設での4年以上の実務経験後、6ヶ月以上の養成施設等で受講
- 福祉系大学等ルート:指定科目を履修し卒業
- いずれも国家試験の合格が必要
メリット
- 地域包括支援センターの職員になれる(三職種の一つ)
- 福祉事務所の現業員(ケースワーカー)として働ける
- 医療ソーシャルワーカーへの道が開ける
- 多角的な視点でのケアマネジメントが可能になる
合格のポイント
試験の合格率は30%前後と難関です。法律・制度から心理学、医学まで幅広い知識が問われるため、計画的な学習が不可欠です。介護福祉士の知識をベースにしつつ、相談援助技術の理論的理解を深めることが重要です。
5位:喀痰吸引等研修(第1号・第2号・第3号)
取得難易度:★★☆☆☆ 年収アップ効果:★★★☆☆ 需要度:★★★★☆
医療的ケアである喀痰吸引や経管栄養の実施ができるようになる研修制度です。介護職の医療行為への参画として注目されています。
取得方法
- 基本研修(講義50時間・演習)と実地研修を修了
- 第1号:特定の利用者に対してのみ実施可能
- 第2号:特定の施設で不特定多数の利用者に実施可能
- 第3号:不特定の施設・利用者に実施可能
メリット
- 医療依存度の高い利用者にも対応できるようになる
- 訪問介護や特別養護老人ホームでの評価が高い
- 医療職との連携がスムーズになる
- 基本給のアップや手当の対象になることが多い
研修のポイント
実際の手技を習得する過程では不安を感じることもありますが、医療職の指導の下で確実に身につけていくことができます。医療的ケアの知識は、日常の介護業務全般の質も向上させる効果があります。
6位:介護予防運動指導員
取得難易度:★★☆☆☆ 年収アップ効果:★★☆☆☆ 需要度:★★★☆☆
介護予防に特化した運動プログラムを提供できる民間資格です。予防重視の流れの中で注目度が高まっています。
取得方法
- 一般社団法人日本介護予防協会などの認定講習を受講(2〜3日程度)
- 筆記試験と実技試験に合格する
メリット
- デイサービスや介護予防教室での需要がある
- 介護予防事業に携われる
- リハビリテーション分野への知見が広がる
- 通常の介護業務に加えて専門性をアピールできる
取得のポイント
運動生理学の基礎知識とプログラム作成能力が問われます。高齢者の身体特性を理解した上での安全な運動指導が重要です。この資格を持つことで、予防型デイサービスなどでの活躍の場が広がります。
7位:福祉住環境コーディネーター
取得難易度:★★☆☆☆ 年収アップ効果:★★☆☆☆ 需要度:★★★☆☆
高齢者や障害者が安全で快適に暮らせる住環境を提案できる民間資格です。
取得方法
- 東京商工会議所が実施する検定試験を受験(3級、2級、1級)
- 独学でも取得可能だが、通信講座などの活用も効果的
メリット
- 住宅改修に関する相談・提案ができる
- ケアマネジャーとの連携業務がスムーズになる
- 福祉用具専門相談員との知識共有ができる
- 在宅介護支援での幅広い視点が身につく
合格のポイント
建築や設備の基礎知識、福祉用具の知識、介護保険における住宅改修制度の理解が必要です。介護現場での経験を持つ方は実践的な視点があるため、比較的取得しやすい資格といえます。
8位:レクリエーション介護士
取得難易度:★☆☆☆☆ 年収アップ効果:★★☆☆☆ 需要度:★★★☆☆
高齢者の心身機能の維持・向上を目的としたレクリエーションを提供できる民間資格です。
取得方法
- 日本レクリエーション協会と日本介護福祉士会が共同で認定
- 通信講座の修了(約3ヶ月程度)で2級を取得可能
メリット
- デイサービスや施設でのレクリエーション企画・実施が専門的に行える
- 利用者の生活の質向上に直接貢献できる
- チームケアの中で特色ある役割を担える
- 比較的短期間で取得できる
取得のポイント
レクリエーションの理論と実践方法を学ぶことで、単なるレク担当ではなく、目的を持った介護レクリエーションが提供できるようになります。施設内でのイベント企画や日常のケアプログラムの質が向上します。
9位:認知症ケア専門士
取得難易度:★★★☆☆ 年収アップ効果:★★★☆☆ 需要度:★★★★☆
認知症ケアに特化した知識・技術を持つ専門職として認定される民間資格です。
取得方法
- 日本認知症ケア学会が認定
- 実務経験3年以上で、所定の研修を修了後、認定試験を受験
メリット
- 認知症ケアの専門家として評価される
- 施設内での認知症ケア改善の中心的役割を担える
- 家族支援や地域での認知症ケア啓発活動に参画できる
- 認知症関連の研究活動への参加機会が増える
合格のポイント
医学的知識から最新のケア手法まで幅広い内容が出題されます。日々の実践を理論的に裏付ける学習が重要です。認知症ケアの専門性を公式に認められる資格として、キャリアアップに大きく貢献します。
10位:介護事務管理士
取得難易度:★☆☆☆☆ 年収アップ効果:★★☆☆☆ 需要度:★★★☆☆
介護報酬の請求事務に特化した民間資格です。介護現場の経験を活かしたデスクワークへの転換を考える方におすすめです。
取得方法
- 技能認定振興協会などが実施する資格
- 通信講座(2〜3ヶ月程度)での学習後、認定試験を受験
メリット
- 介護施設の事務職として働ける
- 体力的に負担の少ない業務への転換が可能
- 介護報酬制度への理解が深まる
- 現場経験と事務能力の両方を活かせる
取得のポイント
介護保険制度の仕組みや介護報酬の算定方法など、実務的な内容が中心です。現場経験があれば理解しやすく、比較的短期間で取得できる資格です。小規模事業所では介護職と兼務できる場合もあります。
資格取得のための具体的ステップ
- 目標設定:自分のキャリアプランに合った資格を選ぶ
- 情報収集:受験要件、試験日程、費用などを調査する
- 学習計画:仕事と両立できる具体的な学習計画を立てる
- 教材選び:独学か通信講座か通学かを決め、適切な教材を選ぶ
- 試験対策:過去問題の演習と弱点克服を繰り返す
- モチベーション維持:同じ目標を持つ仲間との情報交換や勉強会参加
資格取得にかかる費用と時間の目安
| 資格名 | 受験料 | 教材費 | 講座費用 | 取得期間 |
|---|---|---|---|---|
| 介護福祉士 | 15,300円 | 10,000円〜 | 実務者研修約10万円 | 半年〜1年 |
| ケアマネジャー | 13,000円 | 15,000円〜 | 40,000円〜 | 半年〜1年 |
| 社会福祉士 | 15,900円 | 20,000円〜 | 40,000円〜 | 1年〜2年 |
| 認知症介護実践者研修 | 無料〜20,000円 | – | – | 1ヶ月程度 |
| 喀痰吸引等研修 | 無料〜50,000円 | – | – | 2〜3ヶ月 |
※費用は目安であり、地域や実施機関によって異なります。勤務先の研修費補助制度や奨学金制度の活用も検討しましょう。
まとめ:資格取得で広がる介護士のキャリアパス
介護業界は、単なる「体力勝負の仕事」から「専門性と技術を要する仕事」へと急速に変化しています。適切な資格取得は、あなた自身のキャリアアップだけでなく、より質の高いケアの提供にもつながります。
特に介護福祉士とケアマネジャーは、介護職のキャリアラダーにおける重要なステップであり、収入アップと業務の幅を広げる効果が期待できます。また、認知症ケアや医療的ケアなど、専門分野に特化した資格は、より専門性の高いサービス提供を実現します。
資格取得は一時的な負担を伴いますが、長い目で見れば必ず自分自身への投資として価値があります。無理なく継続できる学習計画を立て、着実にスキルアップを図ることをおすすめします。



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